LANケーブルを経由して伝わる電気ノイズ
これまで5回にわたって、ネットワークオーディオに悪影響を与えるノイズの分類と、それぞれのノイズに対する対策について書いてきました。
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普通LANケーブルは金属製のケーブルです。金属製のケーブルはその長さに応じて、特定の周波数帯の信号を受け取ってしまうため、例えば家中に張り巡らされているLANケーブルは、アンテナのような働きをしてノイズを集めてしまいます。
またパソコンなどが発したノイズもLANケーブルへと伝わって、ネットワークオーディオに使っているネットワーク機器や、プレーヤーなどへと伝わります。良いスイッチングハブには一応コネクタにノイズフィルターを搭載していますが、全てが除去できるわけではなく、LANケーブルを経由して電気的なノイズとしてオーディオの音を歪めます。
ケーブル経由で伝わる電気的ノイズを低減する方法はいくつかありますが、手軽に打てる対策から見ていきましょう。
スイッチングハブ間のLANケーブルを長くする
ネットワークオーディオでは、一般的にLANケーブルを短くする方が余計な電波を受信しないで済みますし、外来ノイズからの影響を最小限にすることができるので有利と私は考えていますが、パソコンが接続されているスイッチングハブやルータと、ネットワークオーディオ用のスイッチングハブとの接続をするLANケーブルに関しては、長い方が有利だと思います。
機器同士を接続するLANケーブルは規格上、100m以内と決まっています。これはネットワーク上で信号のやり取りをする際に、信号の衝突の検知と信号自体の減衰の物理的限界によって100m以内と決まっていて、実際はもっと短い距離でも問題が出る場合もあります。
金属導体のケーブルで電気信号をやり取りする場合、どうしても距離に応じて電圧が下がり、信号が減衰してしまいますが、電気的ノイズを低減する場合は、これを逆手に取ります。
パソコン用のスイッチングハブと、ネットワークオーディオ用のスイッチングハブとの間を例えば20mほどのケーブルで接続してあげれば、5mのケーブルで接続するよりも、電気信号は減衰してしまいます。しかし電気的なノイズもまた電気信号と同じですから、減衰してノイズの量が減ります。
もちろん通信信号も減衰してしまいますが、通信エラーが発生するほどのノイズの強い環境下でなければ、ノイズの方が微弱ですし、普通のLANケーブルなら20m程度であれば通信上のエラーは発生しませんので、ノイズのみを減衰させることができます。ケーブルを長くすることによって拾うノイズとのトレードオフになるので、パソコン環境の良し悪しによって聴感上のノイズの低減を感じることができると思います。
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