ネットワークオーディオにおける音を悪くする要因
本末転倒なタイトルですが、ある先生の本のタイトルにかけたオマージュです。しかしある意味真実でもあります。
従来オーディオがノイズ源として隔絶してきたパソコンと接続し、PCオーディオの一部分をオーディオの世界に取り込んだのがネットワークオーディオです。PCオーディオの利便性を部分的に享受しつつ、オーディオ機器側の視点でノイズ対策など音質を追求したものといえると思います。
しかし、ネットワークオーディオ機器はネットワーク機器を通じてパソコンとの接続をしてしまったことで、これまで必死に遠ざけてきたノイズとまた向き合わなくてはいけないというジレンマを抱えてしまいました。
私は元々はPCオーディオからオーディオをスタートして、DLNAが策定される2004年以前からネットワーク経由での音楽や動画の再生を試行してきました。
その後ネットワークエンジニアとして仕事をするようになって、2006年に本格的なオーディオ機器を導入した後、本格的なシアタールームへと移行するためにDENON AVP-A1HDの導入をきっかけにネットワークオーディオへと足を踏み入れ、試行錯誤を重ねてきましたが、昨年、ブログを開設してから、ネットワークエンジニアとしての知識をネットワークオーディオに応用して、ネットワークオーディオのノイズ低減に取り組み、いろいろ実験を繰り返してきました。
その実験の結果、音質の向上に役立った対策について、一度ここでまとめておきたいと思ったので、何回かに分けて、ネットワークオーディオの音質を低下させる要因やその対処方法について2017年1月現在の私感をまとめておきたいと思います。
高音質のスイッチングハブ?高音質のLANケーブル?
これは私の個人的な意見ですが、「オーディオ機器」と正確に言えるのはD/A変換を行う機器から、スピーカーに信号が伝わって音が出るまでの間の機器であると考えています。デジタル信号の変化が直接音を変えるとは考えていません。
スピーカーから出る音を決めているのは、DACが生成したアナログ信号であり、そのアナログ信号が生成時や経路上で受けた影響によって、スパイクノイズが入ったり、ジッターが発生して歪んだりすることで、その音に歪みやノイズ、そして個性が反映されます。これらの歪みやノイズ、個性を総合して、アナログ(デジタル)っぽい音、○○(メーカー名)っぽい音などと表現されます。
ネットワークオーディオにおけるデジタル信号は、TCP/IPというネットワークの伝送ルールによって、DACまで正確に0と1が伝わる仕組みになっていて、その信号はアナログ信号とは違い、信号に異常があれば、何度も送りなおされますし、伝送過程で何度も綺麗な波形に作り直されます。
そして、このデジタル信号は、信号としてはアナログと同じ電気信号ですが、まだ上記のアナログ信号のような「音」ではなく、ただの「信号」です。音ですらない信号を運ぶNASやスイッチングハブ、LANケーブルには信号の品質はあっても、音質は存在しないと考えています。
ではなぜネットワーク機器やLANケーブルを変えると音が変わるのでしょうか…?
コメント
Hermitageさん、こんにちは。
タイトル見てヒヤッとしたのは私だけでしょうか(笑)
今やLANやUSB接続のオーディオ機器が普通に成りつつあります。それなのに周辺機器はと言うと相変わらずの出来栄えと言うのが私見であります。
私自身は電磁波対策まで辿り着いておりませんが、振動対策に熱上げている真っ最中です。ケーブル変えたりインシュレータ敷くとスッキリするのが最たる例だと思います。
電源ノイズにしても振動対策にしてもあまりにもお粗末なレベルのこの必要悪周辺機器との付き合い方に頭悩ます者がここにもおります。続編楽しみに待ってますよ〜〜(^◇^)
おいけさん、コメントありがとうございます。
ヒヤッとしていただけたならタイトルをつけた甲斐があります(笑
ノイズを低減することを考えると、オーディオはできればパソコン周辺機器とは隔離しておくことがベストですが、ネットワークオーディオはそうは行きません。
おいけさんのやってらっしゃる振動対策は手をつけやすい部分ですし、とても大切なので取り組むのは当然として、ノイズがどこからやってくるのか、それをどう抑えるのか、私が得た実験結果と技術的な理由、対策について書いていきたいと思います。
不定期の長い連載になりますがお読みくださいませ。