2024/10/19不定期ですが更新を再開します

FLACよりWAVの方が音質が良いわけではない

ネットワークオーディオ

議論されるべきはファイルフォーマットではない

ファイルフォーマットを比べて音質の差をつけたがる傾向が見られますが、それは問題意識がずれていると私は考えています。WAVファイルとFLACファイルの間で再生品質に差が出ると言うことは本来あっていいことではありません。

先の画像の比較でもお分かりいただけると思いますが、適切に処理されれば無圧縮ファイルと可逆圧縮ファイルの再生では最終段では同じ処理になるはずなので、再生と言う結果には差は生まれないはずです。

ジッターが増えるとかノイズが多いとか、それはファイルフォーマットのせいではなく、再生するソフトやプレーヤー側の環境、処理、経路の問題でファイルには罪はありません。

ネットワークオーディオ PCオーディオ ファイルフォーマット 音質差 FLAC WAV JPLAY

オーディオプレーヤーにおいても、WAVファイルでもFLACファイルでも音質の差が分からないプレーヤーもあると思います。これはつまりWAVファイルでもFLACファイルでも同等の処理がされていると言うことで、むしろ賞賛されるべきはファイルフォーマットを選ばずに高音質に再生できるプレーヤーの方でしょう。(両方とも同等に音が悪いと言うのは評価に値しません。)

議論されるべきは、そして目指すべきは、WAVファイルが高音質で再生できるプレーヤーではなく、ファイルフォーマットを選ばずに、タグ情報の有無に左右されず、音源として同じ情報量のファイルを同等の音質で高音質に再生できるようにするソフトやプレーヤーを開発することです。

FLACファイルはWAVファイルと同等の情報量を持ち、構造的にデータ構造がエラーに強く、高速なデコードが可能で、何よりWAVにはないタグの情報管理の汎用性に加え、データ量を4~6割程度に圧縮することが出来る優秀なファイルフォーマットです。決してWAVファイルに劣ると言うことはありません。オーディオとしては同等、全体としては進化したものであり、優れているといって良いでしょう。

タグを汎用的に管理できないWAV再生にこだわるのは個人の自由ですし、特化したソフト開発もマニアックに楽しむには面白いと思いますが、業界としては汎用性を失う方向へ進んではいけません。同一の思想の元に作られたどのプレーヤーでも同じように楽しむことが出来るというのが重要です。

最後に一言

私は「JPLAY」については否定する気持ちは一切ありません。

ただファイルフォーマットの優劣をつけたがる人にこのプレーヤーを使っている方が多い印象を受けるため、WAVファイル再生で音の良いプレーヤーの代表例として表記しました。多くの人に評価される優秀なソフトであることは皆さんが良くご存知でしょう。

レコード再生、CD/SACD再生、ネットワーク再生、PC再生のどれを好んで楽しむかと言うのと同じように、私は汎用性の高いFLACファイルで再生することを主としているので、WAVファイルの再生に特化し、FLACファイルの再生と音質差がある「JPLAY」は選択肢に入りません。私の実現したいことに沿わないから使わないというだけで、それこそ正に「好みの問題」です。

FLACファイルは圧縮しているから音が悪いと決め付けないで、ファイルフォーマットの音質の優劣ではなく、プレーヤーの再生品質の方へ目を向けてFLACファイルを生かすプレーヤーを作っていただきたいですね。それがオーディオと言う趣味の裾野を広げるためには必要です。

(2017/5/6追記)

最近「JPLAY」はサーバ側のトランスコーダの設定などを見直したようでFLACの音質も向上しているようですね。課題が挙がるとすぐに改善できるのは素晴らしいことだと思います。

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Her-
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コメント

  1. おいけ より:

    Herさん、こんにちは。

    某コミュでかなり話題になってますがあえて静観の立場を取ってましたが、ここではいいでしょう(笑)

    本当にHerさんの仰る通りです!
    SACDに置き換えると、シングルレイヤーだったら最高の音質で鳴るけどハイブリッドだとダメみたいな感じなんでしょうか?
    それを最高のプレイヤーと言われてもピンと来ないのは私だけではないはずです。

    もっとも、ジャズはこのレコードプレーヤー、クラシックはあのレコードプレーヤーで再生みたいな事をやられてる方も多数いらっしゃるのも現実な訳で(*_*)昔っからオーディオでこの手の話題はツキモノなのかも知れませんねぇ。

    色んな可能性があるにも関わらずこうでないとダメ!としちゃう方が勿体無いな〜と感じてしまうのです。
    私的にはネットワークプレーヤーは利便性も含めて良い所だと思ってますので、タグなしは有り得ません(°▽°)

    • Hermitage Hermitage より:

      おいけさん、コメントありがとうございます。
      私もこの記事は場が荒れる気がするので某コミュには載せません…。
      シングルレイヤー、ハイブリッドSACDの差でも同じですね。情報としては同等のものが収録されていても、何かしらの条件でそこに差が生まれてしまうというのは、現実としてあるわけですが、それをメディア側のせいにするのは簡単ですが、それに抗っていいソフトやプレーヤーを作って欲しいなと思います。

  2. 変なおじさん より:

    生意気な事は言わない方が良いよ!どのレベルのシステムをお使いですか?10万20万ですか?100万200万ですか?そこを言ってからコメしましょう!

    • Hermitage Hermitage より:

      変なおじさんさん、コメントありがとうございます。
      生意気ですか、ご忠告ありがとうございます。
      システムの価格について自慢する気はありませんので、
      メニューの「主要システム変遷」から勝手にご推測ください。

  3. テディおじさん より:

    (すみません前のコメントの差し替えです)
    同じ条件でWAVとFLACファイルを聴き比べると、耳の良い人なら一聴で元のwavの音質が1ランク上であることが判るはずです。やはり音質だけから見ると圧縮、非圧縮再現という余計な作業をしていることによる音質劣化があると思われます。昔のアナログテープによる名録音(名演奏)でもSACD化されたものを、dCSのトランスポート、コンバーター、クロック(総額600万円程度)をsdif-2接続して聴いてみても結局、スピーカーコーナーの復刻重量盤を総額300万円程度のアナログプレーヤー、カートリッジ、MCトランス、管球フォノイコに勝てなかったの同じで、収録されたフォーマットのまま再生するのがベストです。

    • Hermitage Hermitage より:

      テディおじさんさん、コメントありがとうございます。
      本稿の論点とコメントの内容はまったく異なります。
      WAVとFLACの話は圧縮されたデータを展開すれば客観的に同じデータといえるのに音の違いがあるのは、圧縮ファイルを展開再生する過程に問題があるのではないでしょうか?と言う問題提起です。
      後半の「昔のアナログテープによる名録音(名演奏)でもSACD化されたものを…」はアナログ音声をデジタル化すれば劣化するのは当然です。WAVとFLACのような同一デジタルデータの比較とはまったく論点が違うでしょう。

  4. テディおじさん より:

    少し論点をずらして申し訳ありませんでした。ただWAVとFLACが同一デジタルデータというのは違っていると思います。論点がずれた点はお詫びしますが、言いたかったのは、可逆とはいえ、オーディオの場合は収録時のデータ・フォーマットと一度でも他のフォーマットに変換すると確実に音質劣化するという点です。元の全ての音響データはアナログです。それを利便性の点からWAVといえども何らかの間引きを行ってデジタル化している訳ですから、その時点で元の情報はすでに欠損しています。それをFLACやALACに変換してデータ量を減らして理論的に可逆だから同じデータというのはおかしいと思います。実際に元の音質の特に空気感はアナログ>WAV>FLAC・ALAC(僅差)>FLAC・ALACより復元のWAVと徐々に無くなっていくのが確認できます。アナログを引き合いに出したのは、収録フォーマットはできるだけ変えない方が良いという意味です。ただ大筋において貴タイトルの”FLACがWAVより音質が良いわけでは無い”に完全に賛同すると言うか、もっとはっきりと”同じ元データでFLACがWAVより音質が良いはずが無い”(貴指摘のようにWAV再生能力の低い機材でしょう)と言い切ってほしかった為のコメントである点、ご理解頂ければ幸いです。

    • Hermitage Hermitage より:

      テディおじさんさんのおっしゃりたいことはわかりますし、尊重はいたしますが
      >可逆とはいえ、オーディオの場合は収録時のデータ・フォーマットと一度でも他のフォーマットに変換すると確実に音質劣化するという点です。
      それを論理的に説明できる方はご存知でしょうか?
      聴感でWAVに優位性を感じたとしても論理的な証明ができないと、結局平行線のまま結論が出ない不毛な議論となりますので、論理的な根拠が示されないのであればここまでとしましょう。

  5. おじちゃん より:

    flacデータを展開してwavデータにし、再生させると同じ音です。
    この前提で行きますと、Flacデータを再生するときこの手順に従
    っていないソフトウェアもある?ということでしょうか。
    DAC付アンプの再生でも音が違いました。
    Flacデータを展開しないでも再生できるのでしょうか?と疑問が
    出る次第です。
    元データに近い無圧縮変換でデータを書き換えている現在です。
    なんとなくですが、flacデコーダのスピードに不満が・・
    取り留めないコメントですいません。

    • Hermitage Hermitage より:

      おじちゃんさん、コメントありがとうございます。
      flacを経由してwavデータに戻すと情報が欠落して鮮度が落ちる、データをコピーすると鮮度が落ちるという方もいらっしゃいますが、可逆圧縮の論理と矛盾があります。
      人の感覚は論理的に説明できない現象をキャッチすることもあり、可能性は否定できませんが納得のいく論理的な説明はされていません。
      プロセスカットPCの音を聞く限り、デコードによって負荷が上がると鮮度が落ちるというのは感覚的にわかるので、無圧縮に近い方が有利かもしれませんね。

  6. Lute より:

    結論から先に言うとflacよりWAVの方がはっきりと音がいいのであれば
    それはプレイヤーの品質が劣っている(ノイズが入りやすい)事を意味します。

    リアルタイムデコード時に信号処理で発生するノイズが飛び込んでいるのです。

    気になるのならflacからWAVにデコードして再生するだけでいいので、
    私は最大限圧縮したflacにタグ付けして保管しています。

    でもそんな些細なノイズで気にするより、「脳」によるノイズを気にした方がいいと思いますよ。

    • Hermitage Hermitage より:

      Luteさん、コメントありがとうございます
      私も最大圧縮のFLACにタグをつけて保存しています。

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