セルの積層化
まず病院の敷地にできるだけ多くの部屋(セル)を作ろうと思ったときに、一番簡単なのは高層化(積層構造)にすることです。平屋ではなく10階建てにすれば、単純計算で10倍の部屋が作れます。
3D NAND技術はこの発想に良く似ていて、96層重ねた3D NANDなども開発されていて、更なる積層化へと進んでいます。
セルの容量拡大
また各部屋を個室として使えば、1フロアあたり部屋の数しか患者は入りませんが、大部屋として使い、ベッドを2つ、3つ、4つと増やせば、その分収容できる患者は増やすことができます。
ベッド(セル)の数に応じて、市販されているSSDは現在のところ4種類存在します。
- SLC:Single Level Cell
- MLC:Multiple Level Cell
- TLC:Triple Level Cell
- QLC:Quad Level Cell
データは保持できる数は患者ではなく、患者がいないを0、患者がいるを1として考え、そのパターン数によってカウントすることとします。
SLCはベッド(セル)が1つですから、0と1の2つのパターンが考えられ、1つのセルに1ビットのデータが入ります。
MLCはここではベッド(セル)が2つと考え、各患者の入っているパターンを見てみると、
0/0、0/1、1/0、1/1
の4つのパターンが考えられ、2ビットのデータが入り、2倍のデータを保持できます。
TLCはベッド(セル)が3つなので、3ビットのデータが入り、
0/0/0、0/0/1、0/1/0、0/1/1、
1/0/0、1/0/1、1/1/0、1/1/1、
と8つのパターンが考えられ、SLCの8倍のデータが保持できます。
QLCはベッド(セル)が4つなので、4ビットのデータが入り、
0/0/0/0、0/0/0/1、0/0/1/0、0/1/0/0、
0/0/1/1、0/1/0/1、0/1/1/0、0/1/1/1、
1/0/0/0、1/0/0/1、1/0/1/0、1/1/0/0、
1/0/1/1、1/1/0/1、1/1/1/0、1/1/1/1、
と16つのパターンが考えられ、SLCの16倍のデータが保持できます。
SSDは、セルあたりの容量が増えると寿命が短くなっていく傾向がありますが、こうして積層化と、セルあたりの容量拡大は今後も続いて、物理限界を迎えるまで、さらにSSDは大容量化、低価格化が進んでいくと思われますし、徐々にHDDとの容量単価の差異を縮めていくことが予想されます。
HDDはいずれSSDに駆逐される
コンシューマー向けの10TB程度のSSDは数年後には登場すると思いますし、大容量/低価格化が進んでHDDを搭載するメリットが小さくなれば、オーディオ向けのNASのラインアップはいずれ、SSDモデルの方が多くなるかもしれません。
その頃にはオンライン経由のDeezer Hi-Fiのようなサービスが充実して、NASが必要のない時代も来るかもしれませんし、オーディオ業界は他の業界に比べて比較的変化が緩やかな業界に見えますが、過渡期に入っているのは間違いなく、もっと新しい技術も出てきて、ネットワークオーディオに代わる新ジャンルが登場するかもしれませんし、老舗メーカーの衰退や新規企業の参入も起こることでしょう。
SSDが登場してノートパソコンに搭載されるようになって来て過渡期を迎えた頃、HDDメーカーだった、IBM(HGST)やQuantum、Maxtorなどのメーカーは各社への吸収合併を繰り返し消えてしまい、現在ではWestern Digital、Seagete、東芝の3社になってしまいました。
こうした技術の過渡期に起こる大企業の衰退と、新興企業の躍進する姿を見ると昔読んだ「イノベーションのジレンマ」という本を思い出します。
SSDの低価格化が進んで行った先には、SSDがコモディティ化し、今のHDDのような立場になって、HDDは今のテープデバイスのような位置づけになり、イノベーションが起こってSSDの次の技術が出現するのでしょうね。
Her-
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