2024/10/19不定期ですが更新を再開します

SSD搭載型のNASが低価格化へ向かう?SSD容量の急拡大、縮小していくHDD市場

DELA/BUFFALO

SSDの容量が急拡大

1990年代にCD-Rが登場し、2000年代に入ると圧縮オーディオフォーマットと、HDDの容量拡大に伴って、デジタルミュージックプレーヤーなどが登場し始め、パソコンをオーディオプレーヤーとして使うPCオーディオが本格的に始まりました。

そして2007年にLINNが発表したDSシリーズによって、マニア向けのオーディオの世界にもネットワークへの接続、パソコン周辺機器の侵食が始まりました。

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今ではネットワークオーディオは、1つのジャンルとして認知され、専用のプレーヤーが各オーディオメーカーのラインナップの1つとして当然のように存在し、BUFFALOIODATAといったPC周辺機器メーカーが、オーディオ向けNASやスイッチングハブなどの分野に参入してきています。

オーディオメーカーにはこうしたネットワーク機器を作ることができるノウハウがないので、PC周辺機器メーカーの独壇場になってしまっています。国内オーディオメーカーで作れるとしたら、企業向けネットワーク機器を製造しているYAMAHAくらいでしょうか。

利便性と万能感

ネットワークオーディオの形として、DAC機能を備えたプレーヤー、データトランスポートとなるNAS、コントローラーとなるタブレットパソコン、それらを中継するルータやスイッチングハブと、接続するLANケーブルや無線LANというのが一般的です。

 

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ネットワークオーディオのメリットは、NASへデータを格納した音源をデータとして取り扱うことによるデータの完全性と、タブレットパソコンでコントロールすることによる操作性の高さ、そしてプレーヤーが回転振動を排除することによって得られる静穏性などいろいろありますが、従来の一体型CDプレーヤーにはないライブラリ化による利便性の高さ、全体を一望できる万能感のようなものがあるのではないかと思います。

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全ての音源をタブレットパソコン1つで閲覧でき、好きな曲を好きな順番で再生できる環境は、従来のオーディオ機器にはない全てが手のひらに収まる先進的なイメージが、ある種の優越感につながるのではないかと思います。

いずれやってくる容量の問題

私は現在オーディオ向けのNASとして、DELAのモニター評価機として購入したHA-N1AH40/2相当(本体仕様は旧モデルN1A)を使っていて、HDDは現在のオーディオ向けNASとしては最大容量の4TB(2TB×2)を搭載しています。

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私が所有している音源はさほど多くありませんので、4TBを使い切るには程遠く余裕もあるので、4TBを2TB×2としてバックアップを取れるミラーリングモードとして、データの保全性を優先した仕様で使っています。

アルバムCD1枚あたりの容量を、600MBとして考えると、100枚で60000MB=60GB、1万枚で6000GB=6TBとなります。可逆オーディオフォーマットであるFLACなどに圧縮すれば容量は50~80%程度に抑えられますが、枚数が増えるほど容量が必要になります。

しかし、より高音質な音源となるハイレゾ音源へと食指を伸ばせば、さらに容量は何倍にも拡大します。例えば私が好きなNorah Jones – Come Away With Meというアルバムで容量を見てみると以下のようになります。

  • WAV(CD音源):477MB
  • FLAC(CD音源):255MB ※圧縮率最大
  • FLAC(192kHz/24bit):1908MB ※e-onkyo

多くのハイレゾ音源はFLACのような圧縮された上体で提供されますので、WAV(CD音源)を基準にして4倍前後、圧縮したFLAC(CD音源)を前提にしても5~8倍程度にはなるでしょう。

現在のオーディオ向けのNASは容量の大きなものでも4TBでは容量が不足することになり、これからは10TB以上の容量が必要な時代が近づいてくることが予想されます。

現在オーディオ向けのNASなどに使用されているHDDは3.5インチのもので、最大で3TBのものが使用されています。パソコンのコンシューマー向けにはすでに10TBを超える容量のHDDが販売されています。

2台で10TB以上の容量を実現することは可能なので、メーカーが必要と判断すれば、音質に配慮しつつ容量の拡大は可能かと思いますので、3.5インチHDDに関しては心配していませんが、最近少し気になっているのがSSDです。

オーディオ向けにSSDが有利?

オーディオにとってノイズは敵であり、CDやHDDなどの回転体の宿命ともいえる振動は、機器に大きな影響を与え、微小信号に影響を与えることで音質にとってデメリットになるといわれています。

ネットワークオーディオでは、その回転体を持つHDDをデータトランスポートとして独立させることによって、プレーヤー側ではその影響を受けずに再生できるのがメリットですが、データトランスポートであるNASも、極力振動がない方が有利であることは変わりありません。

音質的にHDDが良いのか、SSDが良いのか、特性の違いを聴感上どちらが良いと感じるかは、人それぞれですし、SSD自体はノイズが少ないとは限りませんので、回転体がないSSDが絶対に良いとは言い切れない部分はありますが、振動面で有利なことは間違いないでしょう。

DELAにしても、fidataにしても、トップエンドモデルはSSD搭載型になっています。トップエンドがSSDになっているのは、音質的なメリットがあるという面もありますが、NASに使用される3.5インチHDDと2.5インチSSDの価格を考えると4倍近い価格差にあります。

やはりSSD自体の容量単価が高いからというのが実情でしょう。

急速なSSDの容量拡大

しかし、近年SSDの技術革新が続いていて、容量が拡大していく過渡期を迎えています。コンシューマー向けのSSDとして販売されているものとしては、4TB程度のものが最大容量となります。

しかし、サーバー向けのSSDを見てみると、2.5インチサイズで最大30.72TBを実現している東芝メモリPM5」シリーズなどがあります。

https://www.toshiba-memory.co.jp/company/news/20170808-1.html

3.5インチという大きさでよければ、Nimbus Data100TBの3.5インチSSD「ExaDrive DC100」を発表していて、大きさあたりの容量という意味では、HDD並みの容量が実現できるようになっています。

ExaDrive SSDs | Nimbus Data
Unmatched Flash Capacity that Embraces Industry Standards: World's Highest Density and Most Efficient SSDs for AI, Cloud...

10TBを超えるようなSSDが登場して低価格化した場合には、一般ユーザーがHDDを使うメリットはほとんどなくなってしまい、HDDは急速にシェアを縮小していく恐れがあります。

これだけの急速な容量拡大は、3D NAND技術という積層構造と、QLCというマルチレベルセル技術によって支えられているようです。

3D NANDとQLC

SSDにはNAND型フラッシュメモリが使われていますが、NAND型フラッシュメモリは、セルと呼ばれる区画にビット単位の情報を保存することができ、保存された情報は、電圧の変化(強さ)によってON/OFFを切り替え、データの書き込みと削除ができるようになっています。

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このNAND型フラッシュメモリで容量を拡大していこうとすると、単位となるセルを増やすことになるわけですが、セルの数を増やすと、その分必要となる面積も増えてしまい容量の拡大には限界が出てきます。

ではどうやって面積を増やさずに、容量を拡大するかということですが、ひとつは積層構造にすること、もうひとつは1セルあたりの容量を増やすことです。

病院に似ている

この積層構造とセルあたりの容量の拡大を私なりに咀嚼してみると、病院を思い描くとイメージしやすいかもしれません。

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セルの積層化

まず病院の敷地にできるだけ多くの部屋(セル)を作ろうと思ったときに、一番簡単なのは高層化(積層構造)にすることです。平屋ではなく10階建てにすれば、単純計算で10倍の部屋が作れます。

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3D NAND技術はこの発想に良く似ていて、96層重ねた3D NANDなども開発されていて、更なる積層化へと進んでいます。

セルの容量拡大

また各部屋を個室として使えば、1フロアあたり部屋の数しか患者は入りませんが、大部屋として使い、ベッドを2つ、3つ、4つと増やせば、その分収容できる患者は増やすことができます。

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ベッド(セル)の数に応じて、市販されているSSDは現在のところ4種類存在します。

  • SLC:Single Level Cell
  • MLC:Multiple Level Cell
  • TLC:Triple Level Cell
  • QLC:Quad Level Cell

データは保持できる数は患者ではなく、患者がいないを0、患者がいるを1として考え、そのパターン数によってカウントすることとします。

SLCはベッド(セル)が1つですから、01の2つのパターンが考えられ、1つのセルに1ビットのデータが入ります。

MLCはここではベッド(セル)が2つと考え、各患者の入っているパターンを見てみると、
0/0、0/1、1/0、1/1
の4つのパターンが考えられ、2ビットのデータが入り、2倍のデータを保持できます。

TLCはベッド(セル)が3つなので、3ビットのデータが入り、
0/0/0、0/0/1、0/1/0、0/1/1、
1/0/0、1/0/1、1/1/0、1/1/1、
と8つのパターンが考えられ、SLCの8倍のデータが保持できます。

QLCはベッド(セル)が4つなので、4ビットのデータが入り、
0/0/0/0、0/0/0/1、0/0/1/0、0/1/0/0、
0/0/1/1、0/1/0/1、0/1/1/0、0/1/1/1、
1/0/0/0、1/0/0/1、1/0/1/0、1/1/0/0、
1/0/1/1、1/1/0/1、1/1/1/0、1/1/1/1、
と16つのパターンが考えられ、SLCの16倍のデータが保持できます。

SSDは、セルあたりの容量が増えると寿命が短くなっていく傾向がありますが、こうして積層化と、セルあたりの容量拡大は今後も続いて、物理限界を迎えるまで、さらにSSDは大容量化、低価格化が進んでいくと思われますし、徐々にHDDとの容量単価の差異を縮めていくことが予想されます。

HDDはいずれSSDに駆逐される

コンシューマー向けの10TB程度のSSDは数年後には登場すると思いますし、大容量/低価格化が進んでHDDを搭載するメリットが小さくなれば、オーディオ向けのNASのラインアップはいずれ、SSDモデルの方が多くなるかもしれません。

その頃にはオンライン経由のDeezer Hi-Fiのようなサービスが充実して、NASが必要のない時代も来るかもしれませんし、オーディオ業界は他の業界に比べて比較的変化が緩やかな業界に見えますが、過渡期に入っているのは間違いなく、もっと新しい技術も出てきて、ネットワークオーディオに代わる新ジャンルが登場するかもしれませんし、老舗メーカーの衰退や新規企業の参入も起こることでしょう。

SSDが登場してノートパソコンに搭載されるようになって来て過渡期を迎えた頃、HDDメーカーだった、IBM(HGST)QuantumMaxtorなどのメーカーは各社への吸収合併を繰り返し消えてしまい、現在ではWestern DigitalSeagete東芝の3社になってしまいました。

こうした技術の過渡期に起こる大企業の衰退と、新興企業の躍進する姿を見ると昔読んだ「イノベーションのジレンマ」という本を思い出します。

SSDの低価格化が進んで行った先には、SSDがコモディティ化し、今のHDDのような立場になって、HDDは今のテープデバイスのような位置づけになり、イノベーションが起こってSSDの次の技術が出現するのでしょうね。

Her-
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