音は物理的性能に支配される
素材の差は音に現れることが多くて、例えば十分なノイズ対策が取られたカテゴリーの高いLANケーブルはノイズフロアは低いんですが、実際それを使用して音を出してみると、いびつな音になることが多く、とても硬質な音になったり、潤いがなくささくれ立ったり、スペック的には優れていても、違和感のある音が出てくることが多いという実感があります。
それはより高速な通信に対応するためにノイズ対策を重ねていく中で、LANケーブルはケーブルの撚りを強くしてシールド性能を高くしたり、金属泊で厳重に覆ったりケーブルが硬くなっていくことが多いですし、STPケーブルの取り扱いも難しいので、単純な性能の差がオーディオの音の良さにつながらないことがあります。時にはチープなUTPケーブルの方が音が良いということさえあります。
それは、オーディオアクセサリとしてのLANケーブルが、パソコン周辺アクセサリとしてのLANケーブルの性能の良さに加え、音の良さという目的が増えるために、配慮すべき性能要素が一般的なケーブルより多く、一般的なLANケーブルの枠外にある求められる性能が高いのだと思います。枠外にある性能を含めて考慮すればオーディオアクセサリの良し悪しも行き着くところは物理的性能で、それに逆らうことはできません。
安価な素材を使ってもパソコン向け周辺アクセサリとしての性能の良さを実現することは不可能ではありませんが、単純にLANケーブルに上位カテゴリーに必要な性能を高めていくと、振動対策や静電気などのオーディオ的には必要な配慮ができなくなっていってしまいます。
信号の減衰などを考えると導体の導通性能は高い方が有利で、無酸素銅よりはPC-TripleCや銀メッキの方がいいですし、耐ノイズ性能を考えるとより線よりは単線がよく、信号遅延を低くするには絶縁体はPVCよりPE、PEよりはフッ素樹脂の方が比誘電率が低く有利です。
オーディオグレードを謳うケーブルの中には素材や構造を見て設定された価格が理解できないものもありますが、単純にデータの正確性ということだけではなくて、それ以外のオーディオ的対策に取り組む製品は少ロット生産の特注品といっても良いほどですから、素材や構造にこだわり厳選と調整を重ねた製品には高価になる理由があるものです。
確かにコストパフォーマンスは高い
そういう素材の制約があるにもかかわらず、C-stream Ethernet LANの音は、素材の質や価格を抑えつつこれだけの音が出てくることには素直に驚きます。高価なハイエンドケーブルのノウハウが生かされ、基本設計の優れたケーブルであると感じさせてくれる素性の良いLANケーブルだと思います。
導体に銀メッキを施し、絶縁体に高価なフッ素樹脂を使用した上位モデルには、さらなるノウハウや贅沢な素材が投入されていると思うので、簡単に手が出せる価格ではありませんが、かなり期待感は感じさせてくれますね。
Her-
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コメント
C-streamレビュー心待ちにしておりました!
私は上位機種と呼ばれるモデルとは無縁の人間ですので、Herさんの比較記事はとても参考になります!
懲りずにまた色々作っては実験してるのですが、本当に面白いもんですね。使ってる素材の音がモロに出ちゃいますから。
もし機会ありましたらCHORDの上位機種のレビューも!是非お願い致します致します。
おいけさん、コメントおよびご紹介いただきありがとうございます。
いい素材を使っても残念な音しか出ないものもありますが、突き詰めていこうと思えば、物理的性能が優れた素材は嘘をつかないと思います。
素材の良さとノウハウがしっかり組み合わされば、これだけコスパのいいケーブルが出来上がるといういい例ではないでしょうかね。
上位モデルは…、お借りできれば是非レビューしたいものですね!