鮮度ある音に
ステレオ再生については、ESS-P1S1単体で動作していたときは、RoonでRoon Nucleus+からの音源を聴くと音に力感が不足していて頼りなさげでしたが、IP-2000とTX2600Zを間に入れただけで、音の鮮度がパンとはじけるように変わります。
DELAの直結で再生したネットワークオーディオの音はさらに充実し、S/N比の向上による弱音成分の繊細な描写に磨きがかかり、音の粒立ちがよくなり、ピアノの音などはタッチ感が強く出るようになります。何より低音の力強さと迫力には一同驚きました。
バッテリ自身のノイズと息切れ
IP-2000を入れただけで「何でこんなに音が変わるの?」とそこにいた一同は驚きの声を上げていましたが、アイソレーション・トランスのオーディオにおける最も重要な効果は、電源ラインにあるノイズを後段に伝わらないようにアイソレート(絶縁)することにあります。
バッテリは商用電力から供給されている電力とは切り離されるので、外来ノイズの影響を抑えることが可能です。また波形についてもニチコン ESS-P1S1はクリーン電源といって良いほど綺麗な波形を出力できるバッテリです。
しかし、バッテリが直流から交流に変換するときに出るインバータノイズは当然あるでしょう。これがIP-2000とTX2600Zによってアイソレートされた結果、ノイズ低減効果があったのではないかと推定します。
もう1つは電力不足を補うバッファとしての効果でしょうか。蓄電池システムのバッテリは、家庭用の電力として十分な出力を持ってはいますが、ESS-P1S1の最大出力は1000VA(800W)と大型のオーディオシステムに使うにはやや不足を感じる容量です。
KLIMAX SOLOはDYNAMIK Power Supplyというスイッチング方式の電源ではあるものの、最大消費電力は900Wだそうで、それが2機もあります。特にパワーのいるパワーアンプなどが大きな電力を必要とするときには、ESS-P1S1は一瞬息切れのような状態になっていると推定します。
これをアイソレーション・トランスが一時的な電力のバッファとなってパワーアンプの一時的な負荷を補っていることで低音の迫力などに繋がっているのではないかという印象を抱きました。
マルチチャンネル再生ができるのはRoonの利点
余談ですが上記のステレオ再生と合わせて、サラウンド環境を100Vの商用電力を使ってマルチチャンネル環境を動作させてマルチチャンネル音源などもRoonを使って聴いていかせていただきましたが、一般的なネットワークオーディオ機器ではできないマルチチャンネル再生はRoonの利点でもありますね。機器が対応してこそですが。
そのセンターとなるMarantz AV8805の音のロスの少ない力強い音というのは、デモで聞いたときの印象そのままでしたね。ロスの少ないストレートな出音を好む人にとっては改めていいAVプリアンプだなと思います。
蓄電池システム総括
家庭用の蓄電池システムは、商用電力からアイソレートできるので、電圧の変動や外来ノイズの影響を受けにくいという点は大きなメリットではありますが、インバータノイズの影響や息切れのようなデメリットもありますので、オーディオ向けに使うにはその蓄電池システムの仕様に合わせて、デメリットをカバーする機器やアクセサリのサポートが必要になるものだと思います。
ESS-P1S1はアイソレーション・トランスによってデメリットを大きく低減し、音の鮮度を高めることができました。Power YIILE 3に関してはアイソレーション・トランスは使えませんので、Power YIILE 3を1台だけでシンプルに使うのが好ましいですが、インバータ由来のノイズを低減するアクセサリ、例えばIsoTek EVO3 SIGMASのようなノイズフィルタを併用することでデメリットを低減することができるかもしれません。
ノイズフィルタにもトランスのように相性が出るものがあるかもしれませんので、実際に試してみないことにはわかりませんが、バッテリも万能ではないので、使い方次第というのが今回のデモでもよくわかりました。
Power YIILE 3に関しては、Nyans邸ではあまり良い効果が出ませんでしたが、また別宅でテストをする機械があったので、一般的な家庭における効果を体験してみたいと思っています。
オフ会のプログラムはまだ半分程度です。この他にもDELAとRoon、MFPCなど、さらにバッテリと200Vのハイブリッド試聴など面白い体験ができたので、オフ会の話はまだ続きます。
Her-
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