一般家庭のネットワークが抱えるオーディオ的な課題
我が家のネットワークを見ていただく前に、私が考えている一般的な家庭におけるネットワークが抱えるオーディオとして考えた場合の課題、問題を整理しておきたいと思います。
ネットワーク経由の再生の起源
CDが音源として主流である時代はそろそろ終わりが見えてきましたが、ハイレゾのようなパソコンとしてのデータがネットワーク経由で再生されるようになったのは1997年前後だったと思います。
CDはおよそ600~700MBの容量のある音楽データですが、当時の一般的なパソコンのハードディスクの容量は10GBにも満たなかったため、容量が圧倒的に足りませんでした。
そこに登場したのがmp3という非可逆圧縮方式による音源で、音質的にはCDより低いものでしたが、データ量を1/10にまで圧縮することが出来るようになりました。
これによって現在のNASのように大量の音源をハードディスク内に保管してデータベースとして取り扱うことが出来るようになり、すでにパソコンの世界では常識であったネットワークで接続した他のパソコン、サーバーに保存されている大量のデータから好きな曲を選んで呼び出し、手元のプレーヤーソフトで再生するということが出来るようになりました。
ネットワーク経由での音楽や動画の再生というのは正にパソコンの世界そのものです。それを一般家庭の家電向けに、簡単な約束事をつくって再生できるようにと、2003年頃から活動が始まったのがDLNAガイドライン(業界標準)というものです。
パソコンは多機能ですから、一般家庭用のAV機器では性能が不足していて同じことが出来ませんでした。そこでDLNAガイドラインによってルールを標準化して、必要となる機能を絞り、プレーヤー機能(DMP)、サーバー機能(DMS)、コントローラ機能(DMC)と役割分担をさせたアプリケーションを動作させることで、低性能なAV機器でもネットワーク経由の再生が可能になったのです。
高級オーディオはクリーンルームのようなもの
歴史を振り返るのはこのくらいにしておきますが、パソコンの世界を起源とするネットワーク再生を高級オーディオに導入するにあたっては、最大の敵である「ノイズ」の問題にぶつかります。
高級オーディオの世界というのはある意味、隔離されたクリーンルームのようなものです。
クリーンルームとは、高性能な空気清浄機で密閉された空間をきれいにして、埃や塵などの空気中のゴミを極限まで取り除いた部屋のことですが、半導体の製造などにも良く使われています。高級オーディオは正にシステム内のノイズを極限まで小さくしようとしてきたクリーンルームのような世界です。
ガラパゴスのような時代に乗り遅れた化石的な存在ともいえるかもしれません。
利便性とノイズ
パソコンのように周波数の高い信号を扱う機器は、オーディオ機器と比較するとはるかに高いノイズ量が行き交いますが、逆に高級オーディオはノイズをいかに低減するかを突き詰めてきた世界で、両者は相反した世界であるといえます。
ネットワークという利便性の高い機能から孤立してきた高級オーディオの世界を融合しようとするとき、接続したネットワークには多数のパソコンや、AV機器などが接続されているネットワーク経由でパソコンのノイズにさらされるというジレンマに陥ります。高級オーディオにとって天敵であるノイズをいかに抑えるか、というのがネットワークオーディオの世界に立ちはだかる大きな課題になります。
各社のプレーヤーにはパソコンに由来するノイズを遮断する機能、例えばノイズフィルターなどを駆使して取り組んでいますが、入ってくる量が膨大ですからまったく影響を受けないというのは難しいというのが現実的でしょう。
ならば、そのネットワーク経由で入ってくるパソコン由来のノイズを、ネットワーク技術を応用して出来るだけネットワーク側で低減してあげようというのが我が家のネットワークの基本的な概念です。
次回に続きます。
Her-
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