専用の工具を必要としないコネクタもありますので、それをご紹介しておきましょう。
Telegartner MFP8というコネクタです。オーディオ用途としては最初に採用したのはおそらくAudioQuest DiamondとVodkaというLANケーブルではなかったかと思いますが、今やオヤイデ、エイム電子、そしてテレガートナー自身もオーディオ用LANケーブル市場へ参入してきています。
一般的なコネクタの100倍の価格ですから、コストパフォーマンスが良いとは言えませんが、構造はしっかりしていますし、良いコネクタだと思います。
扱いの難しいSTP対応LANケーブル
現在のオーディオグレードLANケーブルは、ほとんどが単線でシールドタイプ(STPやScTP)のLANケーブルが使われています。
私が某コミュニティでこのシールドタイプのLANケーブルの話題を日記に書いたころには、まだネットワークオーディオにシールドタイプのLANケーブルを使うという発想はほとんどなかったと思いますが、このシールドタイプのLANケーブルは、LANケーブルの導体を金属箔で覆うことによって、外から飛んでくるノイズを防ぐ役割と、ケーブル自身が発するノイズを外に撒き散らすのを防ぐ役割を担っています。
シールドタイプのLANケーブルに使われている金属箔は、導体に代わって外来ノイズなどを吸収することによって帯電します。この帯電した電気を外に逃がすことができないと、このシールドにたまった電気がノイズ源となってしまい、オーディオ用途としては逆に音を悪くするという結果を招きかねません。
シールドは1点の隙もあってはいけない
STPに対応したネットワークは、本来は工場などのノイズが多い場所で使われることを想定したもので、STPを利用する場合には、ネットワーク全体をSTPに対応した機器とケーブルで完全に覆うことが必要となり、その上、工業用のアースへ全ての機器からアースを落とし、ケーブルなどに帯電した電気を逃がす必要があります。
どこか1箇所でもシールドで覆われていない箇所があれば、その隙間からノイズが入り込み、シールドで覆われたケーブル内に入り込んだノイズはシールドで覆われているが故に、逆に出口を失って悪影響を及ぼすことになりかねません。この扱いの難しさから大量のサーバーなどが収容されているデータセンターでさえ、シールドタイプのLANケーブルが使われることはあまりありません。
仕事としてデータセンターに行き、数え切れないほどのルータやスイッチをラックに設置した経験がありますが、使われるLANケーブルはUTPケーブルでも必要な性能(1Gbps)は発揮できますし、ちゃんと接続されればエラーもほとんどありません。絶対的性能を求めるなら光ファイバーを使ってしまいますから、使う機会は本当に稀です。
オーディオ用途として考えた場合、ここまで完璧にシールドに覆われたネットワークを構築することは困難(そもそもSTPに対応した家庭用ルータが少ないの)で、家庭内LANでは完全に覆うことができないのが現実です。STPケーブルを使わずに潔くUTPケーブルを使うのか、それとも部分的(オーディオルーム内だけ)でもシールドタイプのケーブルを使う方がいいのかについては、聴感で最終的な判断を下すことが必要になります。
シールドタイプをオーディオ用に使いこなすには、いくつか手段がありますが、それはまた連載中か、連載が終わってからになるかはわかりませんが機会があれば書こうと思います。
次回は通信時に発生する通信ノイズについてになります。
Her-
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