LANケーブルについて
前回の記事では、ネットワーク機器自身が発するノイズについて書きました。
しかし、ネットワークオーディオの実現に必要なのはネットワーク機器だけではありません。電波というノイズ源を遠ざけるとすれば、それらを接続するLANケーブルは必須のアイテムとなります。今回はLANケーブルについて書きます。
LANケーブルの構造
LANケーブルはツイストペアケーブルといわれる構造になっていて、2本ずつ対になって撚られています。
これは、2本のケーブルを流れる電気信号をそれぞれ反対に流すことで、信号電流から発生する磁束をお互いに打ち消しあうことができ、外部へのノイズを低減し、外部からのノイズの影響を受けにくくなる構造になっています。
フラット型のLANケーブルはこの撚り線の構造になっていないためにノイズには弱いので、オーディオ的には不利です。
単線とより線
ケーブルの素材について、LANケーブルに使われている導体、一般的には銅線ですが、この銅線の構造が大きく分けて2種類あります。
- 比較的細い銅線を複数本束ねて作られた「より線」
- 比較的太い銅線1本で作られた「単線」
単線は一般的にノイズに強いといわれていて伝送特性に優れています。しかしケーブルが硬いためとり回しがしづらいなどの欠点があります。
より線は、細いケーブルを束ねているためケーブルが柔らかくとり回しがしやすいですが、より構造を維持するのが難しい(曲げるとずれる)ので、インピーダンス特性の変化などにより減衰が起こりやすく伝送特性が劣るというデメリットがあります。(ツイストペアケーブルの撚り構造とは別でこちらは導体としての構造です。)
LANケーブルを分解してみるとわかりますが、より線のLANケーブルは、導体が複数本の導体で撚られていて、さらにそれを8本束ね、2本ずつペアで撚ったあと、4ペアをさらに撚った構造になっています。
これらの構造の話は、理論的な裏づけのあることなので、オーディオ用の各種ケーブルとも共通する部分が多く、私よりよく理解されている方も多いかもしれませんね。
以上の理由から、LANケーブルは単線の丸型ケーブルが望ましいのですが、一般的に販売されているLANケーブルでは、短いLANケーブルはより線でも必要な性能を得られてしまうため、単線の短いLANケーブルは採用されておらず、ほとんど市販品は見かけません。どうしても欲しい場合は自作する必要があります。LANケーブルの作り方は、ネット上にいくらでもあるので、そちらを参照していただければ作ることは可能ですが、専用の工具が必要となります。
その中でも少し高価ですが専用の工具を必要としないものもあります。
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