下流をアップグレードするより上流の質改善を
ファイルオーディオがオーディオ機器の再生機として、採用されるようになってから、音の軽さを指摘する声は多数あったと思います。CDを回転するモーターや大きな振動を起こす機構を持たないファイル再生は、原理的にはCDプレーヤーより高音質に再生できるはずです。
ところが出てきた当初は解像度は高いですが、やはり音が軽く、物足りなさがあったのも事実です。Marantz最初のネットワークオーディオプレーヤーNA7004はまさにそんなプレーヤーでした。
しかしファイル再生ノウハウや技術の向上が進んでいく内に、徐々に高音質なプレーヤーは増えていき、音質的にもCDプレーヤー以上の再生品質持つ存在になったといっていいでしょう。
ノイズの塊を削っていけば
パソコンで再生すること自体、一般的なオーディオ機器で再生する場合に比べるとノイズ源となる要素を多数抱えています。大容量のスイッチング電源、HDDなどの回転ドライブ、CPUやメモリを動作させる高周波ノイズ、万能であるが故の処理負荷の高さ、挙げていけばキリがありません。
それをバッテリ駆動や、SSDやメモリカードによる再生、省電力パソコンによる低ノイズな駆動方法と、不要な処理をカットするプロセスカットなどの手法を突き詰めていくことにより、ある一定の音質を実現できるようにはなります。
このMFPCはさらにその処理の質を高めるために、その役割を細分化して、1つ1つの処理にかかる負担を極限まで低減することで、質の高い信号を送り出すことができるため、下流を高価な機器に買い換える前に上流側を改善することで、大きく音質向上が図れる可能性を示しています。
利便性を犠牲にした高音質
残念ながら、MFPCは一般に販売できるものではありません。設備の接続は複雑で起動手順にもコツがあり、慣れる必要があります。本来OSが備えるべき機能を削って動作しているという点において、セキュリティ面の不安も当然あるため、ネットワークへの接続は自殺行為で、本来は閉域空間での稼働が必要でしょう。ユーザーの利便性という点においては大きなデメリットが存在します。(※追記)直接指摘されたわけではないんですが、Mさんはセキュリティ面の不安はないとおっしゃっているようです。
今回のこのデモにおいてよくわかるのは、電源の品質が大きく音に影響を与えることと、上流の信号処理の過程が、音の鮮度の高さに強く影響しているということです。MFPCのようなプロセスカットPCオーディオは、ファイル再生における高音質化へのアプローチについて、考えさせられるものですし、現状のネットワークオーディオプレーヤーなどにもまだまだ可能性が眠っていることを予感させる面白いデモでした。
手間がかかっても安く良い音を手に入れたいというのであれば魅力的な手法であることは確かで、アンプやスピーカーをワンランク上に買い換えたくらいは化けると思います。
私は利便性重視
私はLUMIN X1がありますし、これでMFPCを導入してしまったら、X1に大枚叩いた意味がありませんし、私は利便性こそネットワークオーディオの最大の魅力だと思っているので、たぶん導入はしないと思います。儀式やトラブルの対処に無駄な時間は使いたくありません。
さて、まだこれで終わりではないんですねぇ。オールバッテリ駆動でここまで来ましたが、まだ奥の手というか、LINNのハイエンドシステムのポテンシャルを最大限に引き出すことができているわけではありません。ヒントはこのオフ会の記事の初回に書かれていましたが、覚えているでしょうか。次はバッテリ駆動とそれを組み合わせた話題です。
Her-
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コメント
RoonならLinuxにもインストール出来ますしプロセスカットしたwindowsよりも
軽量なLinuxもあるのでwindowsにこだわる必要ないのになと思います
この記事と全然関係ない事ですが◯蔵に裏でバカ呼ばわりされてますよ
https://twitter.com/sinshusoba/status/1149716974932336640
やまださん、コメントありがとうございます。
MFPCの体験は上流の大切さを教えてくれる面白い体験でした。
Linux派、Windows派にはそれぞれ主張はあるようですが、ガチンコで比較したことがないので私にはなんともいえません。
教えていただきありがとうございます。
職業柄彼はそれをいさめる立場だと思いますので残念ですが、特に怒ってはいません。目を覚ましていただけるといいですね。