ノイズをどう低減するか
前回の記事で、ネットワークオーディオの音を悪くする要因をノイズと総称して、対処するタイプ別に4つに分けました。
今回はそのノイズの中でも空中から飛来するノイズについて、私自身が実際に行っている機器側で対処を交えながら書いていきます。
※この連載記事はこのブログでしか公開しない予定です。
空中からのノイズ
空中を飛び交う電波や電磁波については、ノイズの発信源を特定して遠ざけるのがベストですが、残念ながら空中を飛び交うノイズは目に見えないので、どこから来ているのかを特定するのが非常に難しいものであると同時に、現実的に飛んでくるのを防ぐことはできないものでもあります。ノイズを受ける機器自身が自己防衛するしかありません。
機器が自己防衛をする上で、最も効果的なのは金属製の筐体を使うことになると思います。プラスチック(ポリマー)は見た目は隙間のない綺麗な物質に見えていますが、ミクロの世界で見ると実は糸くずが絡まったような隙間だらけの構造になっていて、密度が薄いので、電波や空気などは通ることができてしまいますし、その密度の薄さゆえに軽いというわけです。
逆に金属はミクロの世界で見ると配列が規則的で、密度が高い(重い)ために隙間が少なく、電波などが通りにくい構造をしています。この構造によって電磁波などの電波に対するシールド効果を有していて内部を保護することが出来ます。
海苔のパッケージはアルミ製と透明のプラスチック製がある
この構造の差を示す簡単な例として焼き海苔のパッケージがありますが、焼き海苔のパッケージには、透明のプラスチックのものと、薄いアルミで出来たパッケージのものがあります。
焼き海苔というのは、製造過程で表面を焼き、さらに除湿を行うことで、海苔の中の水分を極限まで減らしてあります。そのため除湿剤であるシリカゲルよりも吸湿性が高く、空気中の水分をあっという間に吸収して湿気てしまいます。(海苔の吸湿剤にはより強い除湿剤である石灰が使われているのはそのためです。)
透明のプラスチックのパッケージは中身が見えて、商品がおいしそうに見えるのでいろいろな商品のパッケージとしてよく使われますが、なぜ透明に見えるのかというと、隙間だらけのプラスチックの構造の間を光が通るからで、同じく空気もある程度通ってしまいます。
もちろんこういった商品の袋はできるだけ空気が通らなくなるように改良はされていますがゼロには出来ません。このプラスチックのパッケージのまま焼き海苔を保存すると、除湿剤を入れておいてもすぐに湿気てしまいますので、長期保存には向きません。これはおせんべいの袋も同じです。しばらく置いておいたおせんべいが湿気ていたという経験は皆さんあるでしょう。
一方薄いアルミで出来た海苔の保存袋は、光にかざしても中は見えません。
一見アルミのパッケージのように見えても光を通すパッケージはアルミ製ではないので注意が必要ですが、アルミのパッケージはプラスチックのパッケージと同じようにぺらぺらに見えます。しかし、構造の密度が高いために光も空気も通さず、湿気やすい焼き海苔を保存するには最適な構造をしているので、長期間焼き海苔のパリッとした質感を保存することができます。
このように金属は薄くてもプラスチックに比べて密度が高い構造をしているために、電磁波などに対しても高いシールド性能を有しています。金属筐体のスイッチングハブやNASは、プラスチック筐体のネットワーク機器よりもはるかに有利な構造をしているため、オーディオ用途として金属製の筐体のものを選択する方が有利です。
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