しかし今年は去年からの勢いを持っていいスタートを切れたことや、ルイス・ハミルトンのスタートでの失敗が頻発したこともあり、予選で後塵を拝しても「決勝で挽回するチャンスはある」と常々コメントしており、レースに臨む精神面の成長が見られて、鈴鹿での勝利までは過度にルイス・ハミルトンを意識しすぎることなく、良い表情、精神状態でレースをしているように見えました。
最後の4戦は鈴鹿の勝利によってちらつき始めたドライバーズタイトルのプレッシャーがかかり本来の速さを発揮できずにいたように見えましたが、最終戦最後の1周までルイス・ハミルトンからかけられた強烈なプレッシャーによって、ミスが全く許されない緊張感の中でも最後まで2位を守りきり、見事にドライバーズタイトルを獲得してみせた精神的な強さは、昨年までのニコ・ロズベルグにはなかったもので、昨年までならミスをしてドライバーズタイトルを逃していただろうと思います。
ニコ・ロズベルグにみていたもの
私がなぜ天才でありヒーローであるルイス・ハミルトンを応援せずに、常に負け続けるニコ・ロズベルグを応援してきたのかといえば、ミハエル・シューマッハに勝ったドライバーだったからというのが1つあります。ミハエル・シューマッハという存在が私にとっては絶対的王者の象徴であり、その絶対的王者に勝ったニコ・ロズベルグが負けるというのは「ルイス・ハミルトン>ミハエル・シューマッハ」という構図になるのが嫌だったのだと思います。
もう1つは「天才」に「努力」が勝つところを見たかったのです。ニコ・ロズベルグも優秀なドライバーであることは間違いありませんが、今年の最終戦の表彰台でのコメントで
「ルイス・ハミルトンを打ち負かすのはいつだって大変だ。」
とコメントし、引退のメッセージでも
「ドライバーズタイトルを獲得するために全てを注いだ。」
「F1タイトルのためにすべてを捧げる生活はもうできない」
とコメントを残していることからもわかるように、ニコ・ロズベルグにとって打倒ルイス・ハミルトンを果たして得るドライバーズタイトルは何を犠牲にしても手に入れたいものだったのかもしれません。
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