そのコストパフォーマンスは?
先日、以前おすすめいただいた「The Chord Company C-stream Ethernet LAN」が安かったので1本購入してみました。

なかなか時間が取れなくて試聴が遅くなりましたが、このC-stream Ethernet LANは1.5mのもので2018年1月の時点で実売8000円前後で販売されているLANケーブルです。前回の記事でも書きましたが、これより上位のケーブルはいずれもけた違いに高価なラインナップになっていまして、唯一一般的なユーザーに手が届く価格帯のケーブルになっています。
価格が抑えられているのは…
一般的にケーブルにおける価格というのは、材料の調達から販売までにかかる、原材料費、加工製造にかかわる人件費、開発費、広告費などの費用が積み重なり、販売が見込まれる量を考慮して決められていますが、その内の20~25%ほどを占めるのが素材の価格です。
C-stream Ethernet LANの導体には一般的なケーブルに使われる無酸素銅、上位モデルのような銀メッキは施されていません。絶縁体にはPE(ポリエチレン)で、上位で使用されている高価なPTFE(ポリテトラフルオロエチレン:フッ素樹脂)には劣りますが、一般的なLANケーブルに使われるPVC(ポリ塩化ビニル)よりは、絶縁体に適した材料が使われていて価格を抑えるのに貢献しています。
プラグには電磁波対策と振動減衰効果を兼ねて、24金メッキのSTPタイプが使われていますが、分解した方から伺ったところケーブルはSTPには対応していないようです。しかしケーブル自体は金属製ラップホイルシールドによってシールドされていて、ノイズ対策ははかられています。
ケーブルには方向指定があるのも特徴です。
比較対象
今回比較対象となるのは私が愛用しているAcoustic Revive LAN-1.0 TripleC(1m)です。

導体は導通性能の高いPC-TripleC、テレガードナー製の強固なプラグに、絶縁体はフッ素樹脂、シールドには銅箔、外周部にはカーボンを含んだチューブとかなり物量が投入されているケーブルです。
C-stream Ethernet LANには1mのものがなく1.5mなのでケーブルの長さは同一ではありません。
ネットワークオーディオ専用ネットワーク
ネットワーク環境については、本ブログで再三書いてはいますが、ネットワークオーディオ専用ネットワークには以下のような特徴があります。
- パソコンのネットワークとは業務用ルータでセグメントを分割
- 光メディアコンバータで一度光信号に変換することによって電気的ノイズを除去
- スイッチングハブにはPlanex FX-08miniを使用 ※Acoustic Reviveカスタム
- LANケーブルはAcoustic Revive LAN-1.0 TripleC、およびR-AL1を使用
- FX-08miniに仮想アースAcousitc Revive RGC-24 TripleC-FMを接続
- FX-08miniおよび光メディアコンバータは、バッテリリファレンス電源Acoustic Revive RBR-1より給電しACアダプタを排除
今回この環境の内、プレーヤーであるNA-11S1に使用しているLANケーブルを変更して試聴してみます。
試聴システムの概要
試聴システムは以下の通りです。
- AVプリアンプ:Marantz AV8802A
- マルチチャンネルパワーアンプ:DENON POA-A1HD
- フロントスピーカー:DALI Helicon 800(Pair)
- ネットワークオーディオプレーヤー:Marantz NA-11S1
- オーディオ用NAS:メルコシンクレッツ DELA モニター評価機
試聴曲
試聴曲はいつものとおり、以下のような曲を聴いてきます。
「image」 ※FLAC 44.1kHz/16bit
「Sarah Brightman – Time To Say Goodbye」 ※FLAC 44.1kHz/16bit
「Boyz II Men – Evolution」 ※FLAC 44.1kHz/16bit
「Diana Krall – When I Look in Your Eyes」 ※FLAC 96kHz/24bit
実在感とリバーヴ感のバランス
サ行に少しかさつきを感じますが、高音の伸び、空間の広がりは良好で、陰影の彫りの深さも感じられます。低音は少し締まって量感はやや控えめになりますが、軽いダンピング感があって小気味よく跳ねています。
音が一歩前に出てくるような勢いの良さもあり、ボーカルが主張してくる印象です。リバーブ感は少し多めで、中域にボリュームがあり、チェロの響きに色気が感じられるのは音楽的でいいと思います。
以前AudioQuest Ethernet Diamondを試聴したときは、空間一杯に広がるリーバヴ感が強い音楽性を重視した印象でしたが、その方向性とはだいぶ違って聞こえます。

どちらかというとこれまで使ってきたLAN-1.0 TripleCのような陰影の彫りの深さや実在感を感じさせるケーブルという印象を持ちます。
私は音を聞くとき色を感じることがよくありますが、無音部や背景の色はケーブルの質が上がるにつれて漆黒へと近づいていきますが、使われている素材は正直にその音にも表れていて、ハイエンドケーブルと比べてしまうと、ほんの少しグレーに感じられたり、高音部にわずかにかさつきが感じられたり、素材の限界のようなものが感じられます。
音は物理的性能に支配される
素材の差は音に現れることが多くて、例えば十分なノイズ対策が取られたカテゴリーの高いLANケーブルはノイズフロアは低いんですが、実際それを使用して音を出してみると、いびつな音になることが多く、とても硬質な音になったり、潤いがなくささくれ立ったり、スペック的には優れていても、違和感のある音が出てくることが多いという実感があります。

それはより高速な通信に対応するためにノイズ対策を重ねていく中で、LANケーブルはケーブルの撚りを強くしてシールド性能を高くしたり、金属泊で厳重に覆ったりケーブルが硬くなっていくことが多いですし、STPケーブルの取り扱いも難しいので、単純な性能の差がオーディオの音の良さにつながらないことがあります。時にはチープなUTPケーブルの方が音が良いということさえあります。
それは、オーディオアクセサリとしてのLANケーブルが、パソコン周辺アクセサリとしてのLANケーブルの性能の良さに加え、音の良さという目的が増えるために、配慮すべき性能要素が一般的なケーブルより多く、一般的なLANケーブルの枠外にある求められる性能が高いのだと思います。枠外にある性能を含めて考慮すればオーディオアクセサリの良し悪しも行き着くところは物理的性能で、それに逆らうことはできません。
安価な素材を使ってもパソコン向け周辺アクセサリとしての性能の良さを実現することは不可能ではありませんが、単純にLANケーブルに上位カテゴリーに必要な性能を高めていくと、振動対策や静電気などのオーディオ的には必要な配慮ができなくなっていってしまいます。
信号の減衰などを考えると導体の導通性能は高い方が有利で、無酸素銅よりはPC-TripleCや銀メッキの方がいいですし、耐ノイズ性能を考えるとより線よりは単線がよく、信号遅延を低くするには絶縁体はPVCよりPE、PEよりはフッ素樹脂の方が比誘電率が低く有利です。
オーディオグレードを謳うケーブルの中には素材や構造を見て設定された価格が理解できないものもありますが、単純にデータの正確性ということだけではなくて、それ以外のオーディオ的対策に取り組む製品は少ロット生産の特注品といっても良いほどですから、素材や構造にこだわり厳選と調整を重ねた製品には高価になる理由があるものです。
確かにコストパフォーマンスは高い
そういう素材の制約があるにもかかわらず、C-stream Ethernet LANの音は、素材の質や価格を抑えつつこれだけの音が出てくることには素直に驚きます。高価なハイエンドケーブルのノウハウが生かされ、基本設計の優れたケーブルであると感じさせてくれる素性の良いLANケーブルだと思います。
導体に銀メッキを施し、絶縁体に高価なフッ素樹脂を使用した上位モデルには、さらなるノウハウや贅沢な素材が投入されていると思うので、簡単に手が出せる価格ではありませんが、かなり期待感は感じさせてくれますね。
Her-
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コメント
C-streamレビュー心待ちにしておりました!
私は上位機種と呼ばれるモデルとは無縁の人間ですので、Herさんの比較記事はとても参考になります!
懲りずにまた色々作っては実験してるのですが、本当に面白いもんですね。使ってる素材の音がモロに出ちゃいますから。
もし機会ありましたらCHORDの上位機種のレビューも!是非お願い致します致します。
おいけさん、コメントおよびご紹介いただきありがとうございます。
いい素材を使っても残念な音しか出ないものもありますが、突き詰めていこうと思えば、物理的性能が優れた素材は嘘をつかないと思います。
素材の良さとノウハウがしっかり組み合わされば、これだけコスパのいいケーブルが出来上がるといういい例ではないでしょうかね。
上位モデルは…、お借りできれば是非レビューしたいものですね!