人生という旅こそがご褒美
この記事はオーディオとは一切関係ありません。F1の話題です。
今日のレースで、マクラーレン・ホンダのジェイソン・バトンが引退します。その彼のヘルメットにはこう書かれています。
『The journey is the reward』
かつて、スティーブ・ジョブズの残した言葉としても知られていますが、直訳すれば、「旅が報酬」となりますが、意味合いとしては旅は目的地へたどり着くことではなく、旅、つまり人生そのものは報酬(ご褒美)であるとするならば、F1で過ごしたジェイソン・バトンにとっての17年間は
「とても幸せな人生(だった)」
といったところでしょうか。
中途半端な契約
ジェイソン・バトンは今年で引退を決意していたところにロン・デニスから説得されて、来年からF1を休養して、テストドライバー兼リザーブドライバーとして残り、2018年にチームとドライバー双方の希望があれば復帰できる特殊な契約を9月の初めに発表しました。
しかしその契約が残っているにもかかわらず、今週「引退する」と明言したことは、ロン・デニスの更迭が多少影響しているのかもしれませんが、中途半端な契約を残して、自分の人生の節目(決断)を中途半端にしたくなかったのだろうと思います。
F1ドライバーは毎年世界を転戦しながらレースをし、人生の全てをF1中心で生きていかなくてはいけない過酷な旅だそうです。そんな彼が17年間も毎年繰り返されるF1という世界旅行に精神的に疲れてしまい、「次の人生」について考えるようになってしまったのだとしても、なんら不思議ではありません。
ジェイソンの発言を見ていると、その「次の人生」において家族と過ごす時間が多くを占めているのではないかと読み取れますが、自身の人生において離婚なども経験し「大切なこと」は何なのかをこの数年日々自問自答してきたのでしょう。
人生の岐路
今年のF1を見ている中で、時々映し出される彼の映像として、どこか疲れたような背中、悩んでいるような表情、遠くを見ているような目がなぜか強く私の記憶の中に残っています。しかし今の彼は吹っ切れたような表情に見え、「次の人生」という旅へ向かおうとしている彼の姿に強い共感を覚えてしまいます。
最近、私は「電車を乗り換える夢」を繰り返し見ます。この「電車を乗り換える夢」は、人生の転機を示すものだそうですが、この1年私自身が迎えている状況や心境の変化と、今年のジェイソン・バトンの姿が重なているからなのかもしれません。(残した偉業の大きさとは比べるべくもありませんが…。)
今日のレースはチャンピオンの行方も気になりますが、チェッカーをどんな気持ちで受けるのか、シートを降りたときジェイソン・バトンがどんな顔をして降りるのか、じっくり観てみたいと思います。
「もうそろそろ、次の旅へ向かおう」
彼を見ていると、私自身もそんな気持ちにさせられました。今日のレースを彼自身が楽しめることを願い、私もテレビの前で楽しみたいと思います。
Her-
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