しかし、その挫折から今年のタイトル獲得への布石は始まっていたように思えます。昨年の終わりから、ニコ・ロズベルグは翌年のシーズンへと頭と精神を切り替えて最後の3戦を勝ち、良い状態で望む準備を行うと、その勢いのまま今年の初め4戦を全て勝利するという最高のスタートダッシュを決めてタイトル争いを優位に進めました。その後一時逆転を許したものの、ここで精神的な成長を見せて再逆転、最終戦までそのリードを保ち続けて念願のドライバーズタイトルを獲得することが出来ました。
因縁のライバル
ルイス・ハミルトンが現役ドライバーの中でも速いドライバーであることは疑いようもなく「天才」だと私も思います。順当にいけば今年もルイス・ハミルトンが3年連続のチャンピオンを獲得していたでしょう。
一方で、ニコ・ロズベルグにとって、ルイス・ハミルトンは幼少期から幼馴染としてずっとレースをし、負け続けてきた、いわば因縁の、そして生涯のライバルです。両者の差はいつもわずかなものですが、絶対的な強さや速さで常にルイス・ハミルトンの後塵を拝してきたニコ・ロズベルグにとって、ルイス・ハミルトンに勝って、ドライバーズタイトルを獲得することは、これまでのレース人生の集大成であり、どうしても成し遂げたかった目標であり夢だったのだろうと思います。
この去年までの3年間のニコ・ロズベルグがレースで見せる表情は、いつもルイス・ハミルトンを意識し、精神的な優位を常にルイス・ハミルトンに握られて、ルイス・ハミルトンに勝てないイライラやコンプレックスのようなものを抱え、焦りの表情を常に浮かべている顔が印象に残っていて、「予選で前に出なければレースでは勝てない」と精神的に追い詰められていたように見えました。
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